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  5. 配電用6kV変圧器の保守点検のおすすめ

変圧器は、他の電気機器と比較し、保守・点検が容易で故障もまれですが、電気設備の根幹を成すものです。いったん故障し停電すると、ビル内照明、冷暖房及びコンピュータが停止するなど多大の影響を及ぼします。不測の事故を避けるため、日常の保守・点検を確実に行いましょう。

日常の保守・点検は、運転中に外観を点検することによって変圧器の運転状態を確認し、異常の兆候がある場合は、早急に適切な処置をして、その拡大を防止するためのものです。異常箇所が発見され、その原因が不明の場合は、製造業者に連絡して適切な処置を講じる必要があります。

JEMAではJEM-TR 171 配電用6kV油入変圧器の保守・点検指針、JEM-TR 218 モールド変圧器の保守・点検指針、2つの配電用変圧器の保守に関する技術資料を発行しています。その中から、重要なポイントを抜粋してご説明します。

配電用変圧器の保守点検チェックポイント

配電用変圧器の日常点検項目、定期点検項目は以下のとおりです。
▶印タイトルをクリックすると、各表が表示されます。

油入変圧器の点検項目

日常点検項目
点検項目 頻度 点検の要点 異常発見時の判定及び対策
内容 原因 対策
運転状況 1回/日 電圧、電流、周波数、力率、周囲温度の確認又は記録 異常値指示 計器故障 修理又は交換
その他 原因の究明及び対策
変圧器温度 1回/日 温度の確認及び記録 異常温度上昇 計器不良 修理又は交換
過負荷 負荷の低減、相間の不平衡の均等化及び容量の増加
巻線内部異常 原因の究明及び対策a)
その他 原因の究明及び対策
音、振動 1回/日 異常音発生の有無 高い鉄心(励磁)音 過電圧 タップの切替
サイリスタなどを用いた負荷機器 負荷機器側での対策
振動及び共振音 設置の不安定 安定設置
共振 共振条件の除去
鉄心びびり音 - 原因の究明及び対策a)
放電音 設置不完全 設置工事を完全に行う
部分放電発生 原因の究明及び対策a)
その他 - 原因の究明及び対策
臭気 1回/日 臭気発生の有無 異常温度上昇 局部加熱 原因の究明及び対策a)
絶縁油 1回/月 油漏れの有無 シール不良 ガスケット劣化 ガスケット交換
緩み 増締め
油面位置の確認 異常値指示 計器の故障
油漏れ
修理又は交換
油劣化防止装置 1回/月 吸温呼吸器又は呼吸口の点検 吸湿材(シリカゲル)変色 吸湿 吸湿材(シリカゲル)再処理又は交換
油つぼの油不足 ー 油追加
油の変色 油の劣化 油の交換
呼吸動作の確認 パイプの詰まり 清掃
外観点検 1回/月 端子部異常の有無 過熱による変色 過負荷又は異常電流 負荷の低減
締付部の緩み 増締め
接触面の不良 原因の究明及び対策a)
がい管の目視 汚損、破損 - 清掃、交換
部品などの破損及び脱落の有無 - - 修理又は交換
放電痕の有無 - 異常電圧の侵入又は発生 原因の究明及び対策
発せい(錆)の有無 - 塗膜の劣化 指定の塗料で補修
小動物形跡の有無 - - 原因の究明及び対策


a)臨時の点検に切り換えて、必要に応じて変圧器の運転を停止して調査し、製造業者へ連絡し、対策を講じる。

定期点検項目
点検項目 点検の要点 異常発見時の判定及び対策
内容 原因 対策
巻線 絶縁抵抗測定 JEM-TR171:2016
図14参照
絶縁油、絶縁物の吸湿、劣化 絶縁油のろ過又は交換、ブッシングの清掃
誘電正接測定 JEM-TR171:2016
図15参照
絶縁油 破壊電圧測定 JEM-TR171:2016
4.3.2.3 d)による
吸湿、劣化 ろ過又は交換
油中ガス分析 JEM-TR171:2016
4.3.1.3による
変圧器内部異常など 原因の究明及び対策a)
酸価測定 JEM-TR171:2016
4.3.2.3 a)による
絶縁油劣化 交換
その他 一般特性 JEM-TR171:2016
4.3.2による
- ろ過又は交換
タップ切換装置 切換操作 動作不良 故障 修理又は交換
緩みの点検 接続部緩み - 増締め
ハンドホール気密不良 ガスケット劣化、緩み ガスケット交換、増締め
油劣化防止装置 シール部点検 シール不良 ガスケット劣化、緩み ガスケット交換、増締め
吸湿呼吸器又は呼吸口の点検 吸湿剤(シリカゲル)変色 吸湿 吸湿剤(シリカゲル)再処理又は交換
油つぼの油不足 - 油追加
油の変色 油の劣化 油の交換
呼吸動作の確認 パイプの詰まり 清掃
タンク・放熱器 油漏れ及び発せい(錆)の有無 発せい(錆)、腐食 塗膜の劣化 指定の塗料で補修
有害ガスの存在 ガス侵入の防止
塩分の付着 耐塩処理の強化
シール不良 ガスケット劣化、緩み ガスケット交換、増締め
ブッシング 目視による異常の有無 端子部の過熱による変色 過負荷又は異常電流 負荷の低減
締付部の緩み 増締め
接触面の不良 原因の究明及び対策a)
がい管の汚損・破損 - 清掃、交換
温度計 指示及び動作確認 不良 故障 修理又は交換
油面計 目視検査 油面異常 油漏れによる低下 原因の究明及び対策a)
故障 修理又は交換


a)臨時の点検に切り換えて、必要に応じて変圧器の運転を停止して調査し、製造業者へ連絡し、対策を講じる。

モールド変圧器の点検項目

日常点検項目
点検項目 頻度 点検の要点 異常発見時の判定及び対策
内容 原因 対策
運転状況 1回/日 電圧、電流、周波数、力率及び周囲温度の確認又は記録 異常値指示 計器不良 修理又は取替え
その他 原因の究明及び対策
変圧器温度 1回/日 温度の確認及び記録 異常温度上昇 計器不良 修理又は取替え
過負荷 負荷の低減、相間のバランス均等化及び容量の増加
周囲温度の上昇 換気の改善
エアーフィルタの目詰まり 清掃又は取替え
送風機の停止 原因の究明及び対策
巻線内部異常 原因の究明及び対策a)
その他 原因の究明及び対策
音、振動 1回/日 異常音発生の有無 高い鉄心(励磁)音 過電圧 タップ切換え
サイリスタなどを使用した負荷機器 -
振動及び共振音 設置の不安定 安定設置
共振 共振条件の除去
鉄心びびり音 ボルト及びナットの緩み 増締め及びけい素鋼板の接着
放電音 設置不完全 設置工事を完全に行う
部分放電の発生 原因の究明及び対策a)
附属機器の異常音及び振動 送風機の異常 ベアリングの修理、取替え
その他 - 原因の究明及び対策
臭気 1回/日 臭気発生の有無 異常温度上昇 過負荷 負荷の低減
局部過熱及び巻線内部異常 原因の究明及び対策a)
外観点検 1回/月 端子部及び無電圧タップ切換装置の異常の有無 過熱による変色 過熱又は異常電流 負荷の低減
締付部の緩み 増締め
接触面の不良 研磨及び再めっき
鉄心、巻線樹脂部などの外観 じんあい(塵埃)の付着及び汚損 - じんあい(塵埃)の除去
巻線樹脂部のクラック 過負荷、過熱、絶縁劣化及び短絡 原因の究明及び対策a)
部品などの破損及び脱落の有無 - - 修理又は取替え
放電痕の有無 絶縁物の炭化 異常電圧の侵入又は発生 原因の究明及び対策a)
発せい(錆)の有無 - 雨水及び水滴の付着 水分の浸入防止及び再塗装
腐食の有無 有害ガスによる変色 有害ガスの存在 ガスの侵入防止


a)臨時の点検に切り換えて、必要に応じて変圧器の運転を停止して調査し、製造業者へ連絡をとり対策を講じることが必要である。

定期点検項目
点検項目 点検の要点 異常箇所発見時の判定と対策
内容 原因 対策
巻線 汚損の有無 じんあい(塵埃)の付着 - 乾燥した圧縮空気(0.1 MPa程度)を吹き付けるか又は掃除機で除去する。アルコールでふく。
劣化の有無 絶縁物の変色及び亀裂 局部過熱 劣化の著しい場合は、製造業者と協議し処置
経年劣化
放電痕及びカーボン付着 異常電圧の侵入又は発生 原因の究明及び対策a)
その他 - 原因の究明と対策
絶縁抵抗の測定 JEM-TR218:2019
表3の値以下
吸湿 乾燥処理する。
その他 熱劣化の著しいときは、製造業者に連絡をとり適切な処置を実施
鉄心 汚損、その他異常の有無 じんあい(塵埃)の付着 - 乾燥した圧縮空気(0.1 MPa程度)を吹き付けるか又は掃除機で除去し、乾いた布で清掃。
この際は、巻線樹脂部表面に傷を付けないよう留意し、ベンジンなどの溶剤は使用しない
発せい(錆)及び腐食 防せい(錆)材料の劣化 所定の塗料で補修
有害ガスの存在 ガス侵入の防止
雨水、水分の付着及び結露 建屋の防水処理又は室内の相対湿度の低減
その他 - 原因の究明と対策
口出線
無電圧タップ切換装置
その他導電部
締付箇所異常の有無 過熱による変色 過負荷 負荷の低減
緩み 増締め
接触面不良 研磨及び再めっき
発せい(錆) - 原因の究明及び対策a)
その他 - 原因の究明と対策
巻線支持物 異常の有無 緩み ボルト及びナットの緩み 増締め
スペーサのずれ 絶縁物熱劣化 巻線補修を要する場合、製造業者と相談し処置する。
その他 - 原因の究明と対策
ダイヤル温度計など計測器及び保護装置 指示及び動作確認 不良 故障 取替え又は修理
(ダイヤル温度計は、10年での交換を推奨する。)
冷却装置 電動機、送風機ベアリング及び附属計器(断風警報機及び温度計)点検 不良 - 取替え又は修理
(送風機ベアリングは、3年での交換を推奨する。)
エアーフィルタ 目詰まり - 交換又は清掃


a)臨時の点検に切り換えて、必要に応じて変圧器の運転を停止して調査し、製造業者へ連絡をとり対策を講じることが必要である。

配電用変圧器の更新推奨年数

一般社団法人 日本電機工業会では高圧配電用変圧器の更新推奨時期を「20年」としております。この目安は、基本的に変圧器中身の期待寿命である30年を基に、機械的応力、異常電圧、負荷状況などの使用環境における影響を考慮し安全を見た参考値です。なお、この値は製造業者の保証値ではありません。
より安全にご使用いただくため、ご使用の高圧配電用変圧器はお早めにお取替えください。
詳しくは、弊会発行のパンフレット「高低圧電気機器保守点検のおすすめ」(2024年11月改正)をご参照ください。

また、変圧器を構成する部品及び附属品についても、変圧器の正常な運転を維持するために、その状態によって交換が必要です。交換の時期は種々の使用条件によりますが、通常の場合、下表に準じ実施することが望ましいです。なお、この値は製造業者の保証値ではありません。

表 附属品の交換推奨時期

部品及び材料

交換周期(年)

油・モールド共通

温度計

10

油

油気密ガスケット類
(ニトリルゴム)

15a)

油気密ガスケット類
(コルク合成ゴム)

10a)

吸湿呼吸器、呼吸口

15

吸湿呼吸器吸湿剤

適宜b)

油面計

15

a) 更新時期前でも、開封した場合には取替える。
b) 吸湿剤(シリカゲル)は、変色が見られたら取替える。

配電用変圧器 関連資料

配電用変圧器に関連する資料には以下のものがあります。ぜひ、必要に応じてご覧ください。

他団体から発行されている資料

日本産業規格(JIS)

  • JIS C 2101 電気絶縁油試験方法
  • JIS C 2320 電気絶縁油
  • JIS C 4304 配電用6 kV油入変圧器
  • JIS C 4306 配電用6 kVモールド変圧器

電気学会 電気規格調査会標準規格(JEC)

  • JEC-2200 変圧器

その他 技術報告書等

  • 電気学会技術報告(I部) 第143号 油入変圧器運転指針
  • 電気学会技術報告(II部) 第376号 電気設備診断-更新に関する調査報告 (平成3年7月)
  • 電気協同研究 第54巻第5号(その1) 油入変圧器の保守管理 (平成11年2月)
  • 電気設備の技術基準の解釈
  • 電気設備の技術診断 1989年
  • ASTM D 971 Standard Test Method for Interfacial Tension of Oil Against Water by the Ring Method
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