2040年における再生可能エネルギーの導入見通し
再生可能エネルギーとは
エネルギー自給率が低い我が国においては、国内で生産可能な再生可能エネルギーは重要なエネルギー源です。近年では、世界的に脱炭素化への流れが高まり、再生可能エネルギーの導入拡大が進んでいます。
再生可能エネルギーとは、絶えず補充される自然由来のエネルギーのことです。エネルギー供給構造高度化法(※1)においては、太陽光発電・風力発電・地熱発電・大気中の熱利用・その他自然界に存する熱利用、バイオマス発電が該当すると定められています。
再生可能エネルギーのうち、新エネルギーと呼ばれるものは、新エネルギー法(※2)で定義されています。発電・建設コスト等が高いことにより支援を必要とし、将来的に期待ができるエネルギーのことを指します。
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※1エネルギー供給事業者による非化石エネルギー源の利用及び化石エネルギー原料の有効な利用の促進に関する法律
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※2新エネルギー利用等の促進に関する特別措置法
出典:資源エネルギー庁
再生可能エネルギーのメリットは、主に以下が挙げられます。
- 国内で生産可能であり、エネルギー自給率を向上させる
- 枯渇せずに永続的に利用ができる
- 温室効果ガスを排出せず、地球温暖化対策に効果的
- 災害時の電源が確保できる
- エネルギーの地産地消や地域経済の活性化につながる
第7次エネルギー基本計画における再生可能エネルギーの位置づけ
エネルギー基本計画とは、日本のエネルギー政策の基本的な方向性を示した計画のことです。エネルギー政策基本法に基づいて、経済産業大臣や総合資源エネルギー調査会の意見を尊重し、策定されます。
2025年2月には第7次エネルギー基本計画が閣議決定されました。
第6次エネルギー基本計画(2021年10月策定)からの状況変化として、ロシアによるウクライナ侵攻や中東情勢の緊迫化などからエネルギー安全保障の重要性が増したことに加え、デジタルトランスフォーメーション(DX)の進展により電力需要の増加が見込まれていることなどが挙げられます。第7次エネルギー基本計画では、それらの状況変化を踏まえ新たなエネルギー政策の将来像が示されています。
また、第7次エネルギー基本計画と合わせて、GX2040ビジョン(※3)や地球温暖化対策計画(※4)も策定がされています。
※3 GX2040ビジョン:「脱炭素成長型経済構造移行推進戦略」を改訂した文書。グリーントランスフォーメーション(GX)に向けた投資の予見可能性を高めるため、GXの取り組みの中長期的な方向性が示されている。
※4 地球温暖化対策計画:地球温暖化対策推進法に基づく政府の総合計画。2050年ネットゼロの実現(温室効果ガスの排出量を全体で0にすること)に向けて、温室効果ガスを2035年度で60%、2040年で73%削減(いずれも2013年度比)する目標等が示されている。
第7次エネルギー基本計画における2040年度の電源構成(見通し)
出典:経済産業省「総合エネルギー統計」「2040年度におけるエネルギー需給の見通し」(2025年2月)
第7次エネルギー基本計画では、再生可能エネルギーを、エネルギー安全保障と脱炭素化を両立する電源であると位置づけています。再生可能エネルギーの主力電源化を徹底し、最大限の導入を促す方針や2040年の政策の方向性などが示されています。また、2040年度における電力需要・電源構成については、不確実性が存在することを念頭に、2040年度の再生可能エネルギーの電源構成比率は「4割~5割程度 」と幅を持った見通しが示され、エネルギー自給率を高めるとしています。
第6次エネルギー基本計画における再生可能エネルギーの電源構成比「36~38%」(2030年度目標)の達成、更に大幅に引き上げられた2040年度の見通しの実現に向けては、立地地域との共生を実現し国民負担の抑制を図りながら、長期安定電源化やFIP制度を活用した電力市場への統合に取り組むとしています。特に、リードタイムが比較的短い太陽光発電の導入を加速する施策に加え、次世代太陽電池の早期の社会実装、進行中の陸上及び洋上風力発電の着実な事業化、既存水力発電設備の出力増を伴う更新加速化などを進めることが重要です。