JIS C 62271-200:2021対応に関するQ&A
金属閉鎖形スイッチギヤは特別高圧及び高圧受電の受電設備、高圧制御盤などとして幅広く活用されており、この金属閉鎖形スイッチギヤの製品規格であるJEM 1425(金属閉鎖形スイッチギヤ及びコントロールギヤ)が、対応国際規格であるIEC 62271-200に整合の上、2021年7月にJIS C 62271-200として制定されました。なお、JEM 1425:2011は、2025年3月に廃止されました。
本ページではJEM1425:2011からJIS C 62271-200:2021へ移行するに際して、高圧遮断器についてよくある質問(Q)に対する回答(A)をご紹介いたします。
なお、JEM 1425からJIS C 62271-200への移行された内容の詳細は、JEM-TR 257:「金属閉鎖形スイッチギヤおよびコントロールギヤ規格の適用指針(JEM 1425 からJIS C 62271-200 への移行)」 をご参照ください。
1. 全般
Q1.JEM 1425で使用している高圧遮断器(JEC-2300やJIS C 4603)は、JIS C 62271-200のスイッチギヤに使用できますか?
使用できない場合があります。
規格の変更にともない、対応していない機器もあります。
JEM 1425に一般的に用いられているJEC-2300とJIS C 4603の高圧遮断器は、短時間耐電流の最大波高値が2.5倍(JEC は直流分減衰時定数45msの場合)に対し、JIS C 62271-200は定格周波数が60Hzの場合は最大波高値が2.6倍となっています。そのため、JEC-2300 やJIS C 4603で試験した最大波高値が2.6倍未満の製品は、定格周波数60HzではJIS C 62271-200:2021には使用できません。
Q2.IEC 62271-200で使用できる高圧遮断器をJIS C 62271-200で使用できますか?
原則使用可能です。
ただし、耐電圧値など一部、JIS C 62271-200とIEC 62271-200で異なる箇所があり注意が必要です。
Q3.IEC 62271-100に適合した高圧遮断器であれば、JIS C 62271-200で使用できると言えるでしょうか?
使用できない可能性があります。
IEC 62271-100に適合した上で、JIS C 62271-200の要求を満足する高圧遮断器であれば、使用が可能です。
Q4.JIS C 62271-200適用の高圧遮断器はどの規格を適用するのでしょうか?
JEC、JEMなどの学会、業界団体規格が使用可能です。
「金属閉鎖形スイッチギヤ及びコントロールギヤ規格 JIS C 62271-200の制定とJEM 1425の廃止予定について」における、「お問い合わせの多い質問とその回答」の1. 全般 のQ5/A5をご参照ください。
Q5.JIS C 62271-200:2021で引用されている高圧遮断器の規格はIEC 62271-100:2017だが、最新版を適用できないか?
IEC 62271-100:2017が適用されます。
なお、IEC 62271-100の最新版に適合する高圧遮断器でも、JIS C 62271-200:2021の要求事項を満足すれば使用することが可能です。
Q6.IEC 62271-100の高圧遮断器を適用する場合、高圧遮断器の銘板は英文となるのでしょうか?
銘板の言語に特に規定はないため、英文の場合も和文の場合もあります。
Q7.高圧遮断器の国際規格であるIEC62271-100 に整合した高圧遮断器のJIS規格の制定予定はあるのでしょうか?
2025年時点ではIEC規格に整合した高圧遮断器のJIS規格の制定予定はありません。
2. 運転連続性喪失区分(LSC)と仕切板等級
Q1.運転連続性喪失区分(LSC)の表記は高圧遮断器側の銘板にも表記されますか?
高圧遮断器の銘板には表記しません。
Q2.LSCの種類により高圧遮断器の構造・寸法は変化するのでしょうか。
LSC の種類で高圧遮断器の種類を決めることはできません。
また、LSC では固定形高圧遮断器、引出形高圧遮断器の分類はしませんので、ご注意下さい。
Q3.仕切板の有無及び仕切板等級により、高圧遮断器の構造・寸法は変化しますか?
仕切板の有無及び仕切板等級により、高圧遮断器と構造・寸法が変化する可能性があります。
Q4.JIS C 62271-200:2021の仕切板等級PM(すべてが金属製)の高圧遮断器はJEM 1425:2011のメタルクラッド形スイッチギヤ用の高圧遮断器と構造・寸法は変化するのでしょうか。
仕切板等級PM 級の高圧遮断器は、メタルクラッド形スイッチギヤの高圧遮断器と構造・寸法が変化する可能性があります。
3. 使用状態
Q1.JIS C 62271-200:2021では、屋外用スイッチギヤの周囲温度-25~40℃となっていますが、IEC 62271-100:2017では屋外用の高圧遮断器が-25℃~40℃、屋内用の高圧遮断器が-5℃~40℃となっている。どちらを適用するのでしょうか?(項2.1)
通常、高圧遮断器はスイッチギヤ内部に配置されるため、屋内用を適用します。
4. 定格
5. 設計及び構造
Q1.JEM 1425:2011のメタルクラッド形スイッチギヤに適用していた高圧遮断器は、JIS C 62271-200:2021の仕切り板等級PMのスイッチギヤに適用できますか?
適用できない可能性があります。
JEM 1425:2011のメタルクラッド形スイッチギヤでは仕切板の材質が金属製又は非金属製に対して、JIS C 62271-200:2021の仕切り板等級PMはすべて金属製となるため、そのまま適用できない可能性があります。
Q2.インタロック装置において、運転位置で補助回路を断路することができる高圧遮断器はJIS C 62271-200で使えるのでしょうか?(項5.11)
機械的インタロック付きが望ましいですが、銘板による注意喚起があれば使用可能です。
IEC 62271-200では必須項目ですが、JIS C 62271-200では銘板による注記喚起を追加し、内容を緩和しておりますので、機械的インタロックは必須ではありません。
Q3.引出形高圧遮断器において断路位置で南京錠などによる施錠が必要なのでしょうか?(項5.11)
必ずしも必要ではありません。
引出形高圧遮断器が断路位置で容易に移動できない機構(インタロックレバーなど)があれば、施錠の必要はありません。
Q4.表示方法で閉路状態「I」、開路状態「O」にするのが望ましいとありますが、文字での開閉表示でも問題ないのでしょうか?(項5.12)
問題ありません。
IEC 62271-1で採用されている表示のため、海外ではこの表示が一般的です。ただし、必須ではないため、”ON-OFF”や”入-切”などの文字表示でも問題ありません。なお、JEC-2300又はJIS C 4603に適合している高圧遮断器は、基本的に”入-切”表示となります。
Q5.JIS C 62271-200に対応した高圧遮断器であるかを高圧遮断器の現品に記載されるのでしょうか?
高圧遮断器の銘板等の現品に記載する予定はありません。
6. 形式試験
Q1.JEC-2300やJIS C 4603適合の高圧遮断器を、JIS C 62271-200に適合したスイッチギヤに収納して運用するためにはどうすればいいでしょうか?(項6.1)
JIS C 62271-200の要求事項を満たしていれば使用できます。
4603の短時間耐電流試験で最大波高値が2.5倍のみの条件で実施している場合は、改めて最大波高値2.6倍の条件で短時間耐電流試験を実施する必要があります。
満足していない場合は、上位定格の遮断器を用いるなどしてJIS C 62271-200の要求事項を満足できる機種を選定ください。
Q2.真空バルブのX線放射試験はスイッチギヤメーカで実施しなければならないのでしょうか?(項6.11)
新品の真空バルブで実施する必要があるため、一般的には高圧遮断器メーカ、又は真空バルブメーカでの実施となります。
高圧遮断器の国内適合規格ではX線測定は規定されていないため追加試験が必要になる可能性があります。
Q3.移動形機器の機構動作試験は、高圧遮断器単体で実施した結果(試験成績書)を使用しても良いのでしょうか?(項6.102)
スイッチギヤに設置した状態で実施してください。
なお、専用のクレードル等によって、スイッチギヤに装備した条件を実現できる場合は、同等とみなせます。
Q4.高圧遮断器のフレーム接地は、接地接続部として短時間耐電流試験を実施する必要はありますか?(項6.6 b))
短時間耐電流試験は不要ですが、JIS C 62271-200の5.3.104で引用している5.102.1にあるように30A(直流)通電して電圧降下(3V未満)を確認してください。