2. 分散型電源の導入プロセスとPCS認証
2.1 分散型電源の導入プロセス
再生可能エネルギー発電設備の事業化検討から運転開始までの流れの概要です。
再生可能エネルギーのFIT制度・FIP制度の対象となるためには、経済産業省への事業計画認定手続き、電力会社との特定契約、及び、商用電力系統に接続するための電力会社との協議が必要となります。
また、所轄の産業保安監督部による、発電所の規模などにより定められた電気保安に関する審査などが必要となります。
注1、注2:容量別の詳細は下図の通り
2023年3月20日より小規模事業用電気工作物が新設され、事前規制の範囲が拡大
出典:経済産業省 小規模事業用電気工作物の新制度Q&A
https://shoushutsuryoku-saiene-hoan.go.jp/pamphlet.pdf
2.2 パワーコンディショナ(系統連系保護装置等)の認証制度
分散型電源を系統連系する場合には、発電設備の性能を確認するための電力会社との連系協議が必要となります。
パワーコンディショナ(系統連系保護装置等)の認証制度は、中立的な第三者機関が、「電力品質確保に係る系統連系技術要件ガイドライン」や「電気設備の技術基準の解釈」、「電気用品安全法」などの技術基準を基にした認証試験基準への適合性を確認し、製品の製造体制を確認する工場調査を行い合格したものを認証する制度です。
認証制度の目的とメリット
認証制度は、電力品質の維持・保安確保などの観点に加え、認証を受けたパワーコンディショナ(系統連系保護装置等)は、電力会社との連系協議における個別の性能確認試験などを省略することが可能となるため、検討に要する期間を短縮することができ、電力会社との協議を円滑に進めることができます。
認証制度の概要と対象機器
主に一般住宅に設置することを意図した低圧系統連系保護装置等の認証、および2MW未満の高圧系統連系保護装置等の認証があります。パワーコンデショナ(系統連系保護装置等)の製造事業者、流通事業者、輸入事業者等の申込みに応じて、認証試験及び工場調査が実施され、合格すると認証登録となります。
一般財団法人電気安全環境研究所(JET)の認証の場合の対象品は以下の通りです。
<低圧系統連系保護装置等>
電気事業法の小出力発電設備のうち、逆変換装置等を用いた系統連系装置等であって、低圧配電線へ連系要件に適合することを前提としたもの。
- 太陽光発電システム用 単相の場合は出力20kW未満、三相の場合は出力50kW未満
- ガスエンジンコジェネシステム用 出力10kW未満
- 定置用小型燃料電池システム用 出力10kW未満
- 定置用リチウムイオン蓄電池システム用 単相の場合は出力10kW未満、三相の場合は出力50kW未満
- 複数直流入力システム(太陽光+リチウムイオン蓄電池)用 単相の場合は出力10kW未満、三相の場合は出力50kW未満
- 複数直流入力システム(ガスエンジンコジェネ+リチウムイオン蓄電池)用 出力10kW未満
- 複数直流入力システム(定置用小型燃料電池+リチウムイオン蓄電池)用 出力10kW未満
- 電気自動車等搭載蓄電池用(直流接続型) 出力10kW未満
- 複数直流入力システム[(太陽光+電気自動車等搭載蓄電池)(直流接続型)]用 出力10kW未満
- マルチ入力システム[(太陽光+リチウムイオン蓄電池+電気自動車等搭載蓄電池(直流接続型)])用 出力10kW未満
<高圧系統連系保護装置等>
高圧配電線に連系する分散型発電システムに適用されるパワーコンディショナ。
- 太陽光発電システム用 出力2MW未満
- 定置用リチウムイオン蓄電池システム用 出力2MW未満
- 複数直流入力システム(太陽光+リチウムイオン蓄電池)用 出力2MW未満