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家電製品と電磁波Q&A

家電製品からの電磁波の実態と影響

Q2-1. 家電製品からの電磁波の周波数は?

A2-1. 家電製品の場合は、電熱応用製品および、電動力応用製品、IH調理器等が150 kHz以下で、IH調理器以外は、主に50 Hzおよび60 Hzの商用周波数が対象となります。

この他、電子レンジは2.45 GHz(ギガヘルツ:109 Hz)が主な対象となります。

Q2-2. 電磁波はどのくらい?

A2-2. IEC(国際電気標準会議)で家電製品の電磁波の測定方法の規格(IEC62233)が2005年10月に制定されています。この方法により測定した結果、ICNIRP(国際非電離放射線防護委員会)のガイドライン(指針)のレベルを下回っています。
下図はICNIRPのガイドラインのレベルと当工業会での取扱いの主要家電製品に対する測定結果の概要です。

ICNIRPのガイドラインとIECの規格については、(Q2-4)ICNIRP(国際非電離放射線防護委員会)のガイドラインとIEC62233とは?を御参照下さい。

注1)磁界の測定距離は、IEC規格により規定されている場合はその距離(電気カーペットは日本の使用実態より0㎝)、規定されていない場合は、通常の使用状態を想定し、類似の製品を参考にした距離で行い、その距離を[ ]に示します。
注2)ICNIRPガイドライン値に対するIEC測定値(%)は、複数機器における最大値の範囲を示します。
注3)測定値は「ICNIRPガイドライン値に対するIEC測定値」として、「Exposure STDモード」(時間領域評価法)で測定した値(%)に、結合係数を乗じた値を測定結果として記載しています。
注4)この測定結果は、ICNIRP2010年版によるガイドラインに対しての結果です。

[出典]一般財団法人 家電製品協会「平成25年度家電製品から発せられる電磁波測定(10Hz~400kHz)調査」

Q2-3. 電磁波の人体への影響は?

A2-3. 家電製品から発生する電磁波により人体が影響を受けたという報告は現在ありません。WHO(世界保健機関)とILO(国際労働機関)に協力しているICNIRP(国際非電離放射線防護委員会)でガイドラインを作成しています。通常使用されている状態で家電製品から発生する電磁波は、このガイドラインに比べ十分低い値となっています(Q2-2参照)。また「通常の居住環境で電磁界が人の健康に影響を与えるとは言えない」とした電気学会からの報告があります(Q1-2、-3参照)。

Q2-4. ICNIRP(国際非電離放射線防護委員会)のガイドラインとIEC62233とは?

A2-4. 300GHz以下の電磁波からの人体の防護について、各国の専門家で構成されるICNIRPにより科学的根拠に基づいて作成された国際的なガイドラインです。法的拘束力を持っているわけではありませんが、WHO(世界保健機関)が人体防護のばく露限度値として各国に採用を推奨している国際的に権威のあるガイドラインです。

このガイドラインでは、科学的根拠とされる電磁界にさらされた人体への影響について種々の論文、データから得られた値に、一定の安全率(一般公衆環境では虚弱者、妊婦などを想定して設定)を織り込んで決定された基本制限(頭部及び体幹に誘導される電流密度で表現:新ガイドラインでは、最新の研究結果を反映させて、手足を含む体内に誘導される電界強度で表現)と、空間的に一様な磁場にモデル化された人体を想定して決定された参考レベル(磁束密度で表現)を決めています。

参考レベルを満足していれば基本制限を満足しますが、参考レベルを上回った場合でも、必ずしも基本制限を満足しないことになりません。これは、製品に近い人体の一部分では比較的強めの電磁界の曝露を受けることもありますが、製品から少し離れた他の部分の曝露は急激に弱くなるので、実際の使用環境においては、頭部や胴体を含めた全身への一様な磁場を想定したICNIRPのモデルと同じ条件にならないことが理由です。 このため、IEC(国際電気標準会議)では家電製品に対して適用する測定方法と判定方法(IEC62233)が制定されています。IEC規格では、不均一な磁界を、均一な磁界の測定値に換算する係数(規格では結合係数と呼んでいます)を導入し、測定値にこの係数を乗じた値が参考レベルを超えていなければ、ICNIRPのガイドラインに適合とする判定方法を規定しています。また、参考レベルの値は周波数に対して一定ではなく、周波数に依存した値です。製品からの磁界も複数の周波数が含まれていることから、磁束密度を測定するだけではICNIRPのガイドラインへの適合判定はできません。このことから、周波数特性を持つフィルターを使用して重み付けを行い、参考レベルに対する比率(%)によって測定値を表現する測定方法を規定しています。この手順の概要を下図に示します。なお、IEC62233は、JIS C1912としてJIS化されています。

Q2-5. IARC(国際がん研究機関)の発がん性評価の意味は?

A2-5. IARCはWHOの付属機関です。IARCでは、超低周波電磁界が人への発がん性があるかの評価結果を2001年10月に公表しています。

この結果結果によりますと、超低周波磁界と小児白血病については、「人間にとって発がん性があるかもしれない(グループ2B)」、また、静磁界、静電界、超低周波電界については、「人間の発がん性について分類できない(グループ3)」と分類しています。 この評価は、人に対する証拠(疫学調査)と動物に対する証拠(動物実験)をそれぞれ評価し、細胞実験研究の結果も含めて、発がん性分類の総合評価を行った結果です。

超低周波磁界による発がん性については、疫学調査での限定的な証拠は認められるが、それ以外の証拠は認められないことから、グループ2Bの分類とされています。静磁界、静電界、超低周波電界による発ガン性については、疫学調査でも動物実験でも発がんの証拠が認められないことからグループ3の分類とされています。

超低周波磁界と同じ2Bに分類されている他の発がんに関する物質は、コーヒー、漬け物、ガソリンエンジンの排気ガス等があります。また、WHOから2007年6月に発行されたファクトシート No.322「超低周波の電界及び磁界への曝露による健康リスク」では、「小児白血病に関連する証拠は因果関係と見なせるほど強いものではない。」と説明し、ICNIRPガイドラインでは、末梢神経および筋肉の刺激、感電および熱傷、生体組織温度の上昇による影響についてはガイドラインを設定する十分な科学的根拠があるとしていますが、発がんへの影響、遺伝子への影響などについては、細胞実験や動物実験結果から因果関係が見つからないため、ガイドラインとして採用するのに十分な科学的証拠がないとして、ガイドラインの対象としていません。

IARCの発がん性評価は、その物質や環境ががんの原因となるかどうかを定性的に分類したもので、定量的な発がん性を評価したものではない、とされています。

Q2-6. 心臓ペースメーカを装着しているのですが?

A2-6. 心臓ペースメーカの取扱説明書及び担当医師の指示に従って下さい。

Q2-7. 電磁波の出ない家電製品はないのですか?電磁波を99%カットする電気カーペットがあると聞きましたが。

A2-7. 電気を使っている以上は、電磁波の発生は必然的に起こるものです。確かに電気カーペットの一部には電磁波を99%カットするとうたっているものもあります。この商品は、電磁波をどうしても気になる人が選択できるように意図したものです。

なお、WHOのファクトシートNo.296、電磁界と公衆衛生:「電磁過敏症」では、電磁波に対して過敏であると訴える人々(いわゆる、電磁過敏症)が存在することは確かであるが、本人に判らないように電磁波を曝露させたりさせなかったりして、 症状や電磁波の曝露の有無を自覚できるかという二重盲検法などのこれまでの研究結果から、このような症状と電磁波の曝露に関係は認められない旨の説明がなされています。

Q2-8. 「電磁波防護グッズ」として市販されているものの効果は?

A2-8. 現在、OA(オフィスオートメーション) 用エプロンや携帯電話用シール等の各種製品が販売されているようですが、当工業会としましては、それらの商品の評価を行っていません。従って効果が有る、無いにつきましては、各商品のメーカにお尋ねいただきたいと考えます。尚、家電製品からの電磁波は距離と共に急激に減衰する性質をもっています。この性質を利用されるのも効果的です。