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米国TSCA 基本情報

米国TSCA

米国の有害物質規制法(TSCA)について、特に成形品を対象とした部分に焦点を当てて、以下にまとめる。
(2023年7月時点の情報)

■ TSCA(有害物質規制法)=Toxic Substances Control Actの略
■ TSCAの目的:有害な化学物質が及ぼす、人の健康または環境を損なう不当なリスクを防止すること。
   日本の化審法や、EU REACH規則に相当する法律。
■ TSCAの概要

年月および内容 主なポイント
1976年10月制定、1977年1月に施行。
米国へ化学物質を輸出する際、規定に則り届出をしなければならない。
成形品は対象外だった。
2016年「21世紀に向けた化学物質安全フランク R.ローデンバーグ法」が制定、施行。
EPA(米国環境保護庁)の権限の強化、リスクに基づいた新規の安全基準などを改善。
大幅な改正。
2021年1月6日付けの連邦官報において、TSCAの第6条(h)※1に基づき、
5種類の難分解性・生体蓄積性及び毒性を有する※2化学物質を含有する
成形品の製造加工および商業目的の流通を禁止/制限する最終規則を発表。
・成形品が明確に対象となった。
・規制対象は現状5物質。
・PBT規則と呼ばれる。

     ※1 TSCA第6条「化学物質及び混合物の優先度、リスク評価並びに規制」
          (h)項「難分解性、生体蓄積性及び毒性を有する化学品」
     ※2 難分解性、生体蓄積性及び毒性を有する=PBT (Persistent, Bioaccumulative, and Toxic)


■ 主な要求事項:新規物質を製造または輸入する前に、もしくは既存物質を重要新規利用のために製造
                            または輸入する前に届出/許可取得義務がある。
■ 適用範囲: 商業用に米国で製造、加工、または輸入される
                    「化学物質、混合物または化学物質、混合物を含有する物品(Article)」を規制している。
■ 適用除外(TSCA第3条(2)):米国の他の法律によって規制される、(ii)殺虫剤、 (iii)たばこ、 (iv)軍需物資、
                    (vi)食品、食品添加物、医薬品、化粧品、または装置として使用するために、
                    製造、加工、または商業的に流通する食品、食品添加物、医薬品、化粧品、または装置。

TSCA PBT規則について

■ PBT規則の概要
   ・2016年のTSCA改正で優先評価物質に対する措置の導入および企業の義務が明確化され、第6条(h)項が追加された。
   ・第6条(h) :難分解性(persistent)、生体蓄積性(bioaccumulative)及び毒性(toxic)を有する化学物質(=PBT物質)に対する
      対応手順等が記されている。
   ・2021年1月6日 EPAは、TSCA第6条(h)の追加に基づき、5種類のPBT物質を含有する製品及び成形品の製造、
      加工及び商業的流通を禁止/制限する
最終規則を発行した。
   ・2014年の「化学物質評価のためのTSCA作業計画」で、特定のPBT物質を選定する基準を定めている。


■ 対象物質の状況(2023年7月時点)
   ・現在、TSCA PBT規則の対象は5物質。リン酸トリスイソプロピルフェニル(PIP3:1)は影響が大きい。

規制対象物質 略称 CAS No.
(NITE-CHRIPへリンク)
関連する
連邦規則
40 C.F.R
主な用途 備考
1 デカブロモジフェニルエーテル Deca BDE 1163-19-5 §751.405 ポリエチレン、ポリスチレン、ポリエステル、ABS樹脂用難燃剤 ・化審法
 第一種特定化学物質
・EU REACH規制
 SVHC
・POPs条約
 附属書A(廃絶)対象
2 リン酸トリス(イソプロピルフェニル) PIP(3:1) 68937-41-7 §751.407 接着剤、封止剤、塗料、グリース、潤滑油、ゴム、塩ビ製品の難燃性可塑剤
3 2,4,6-トリ-tert-ブチルフェノール 2,4,6-TTBP 732-26-3 §751.409 酸化防止剤その他の調整添加剤(潤滑油または燃料油用のものに限る) ・化審法
 第一種特定化学物質
4 ヘキサクロロブタジエン HCBD 87-68-3 §751.413 溶媒 ・化審法
 第一種特定化学物質
・POPs条約
 附属書A(廃絶)対象
5 ペンタクロロチオフェノール PCTP 133-49-3 §751.411 有機ゴム薬品
(素練り促進剤)


■ 禁止となる対象、活動、および適用開始時期(2023年7月時点)

規制対象物質 略称 対象 活動 適用開始
時期
1 デカブロモジフェニルエーテル Deca BDE DecaBDEおよびDecaBDE含有製品/
成形品
製造/加工 2021年3月8日
商業的流通 2022年1月6日
接客業におけるカーテンへの使用/
添加
製造/加工/商業的流通 2022年7月6日
原子力発電施設の電線およびケーブル絶縁のためのDecaBDE および DecaBDE を含有する電線及びケーブル絶縁 製造/加工/商業的流通 2023年1月6日
新しい航空宇宙機の一部として搭載および分配される部品 製造/加工/商業的流通 2024年1月8日
自動車の交換部品 製造/加工/商業的流通 自動車の耐用年数終了後または2036年
2021年3月8日以前に製造された、DecaBDEを含有するプラスチック製の出荷用パレット 商業的流通 パレットの耐用年数終了後
2 リン酸トリス(イソプロピルフェニル) PIP(3:1) PIP(3:1)およびPIP(3:1)含有製品/
成形品
加工/商業的流通 2024年10月31日
接着剤及び封止剤 加工/商業的流通 2025年1月6日
写真印刷用品 加工/商業的流通 2022年1月1日
3 2,4,6-トリ-tert-ブチルフェノール 2,4,6-TTBP 2,4,6-TTBPが35 ガロン(133L)未満の容積の容器中に0.3wt%以上の濃度 商業的流通 2026年1月6日
0.3wt%以上の濃度の「2,4,6-TTBPオイル及び潤滑油添加剤」 商業的流通 2026年1月6日
4 ヘキサクロロブタジエン HCBD HCBDおよびHCBD含有製品/成形品 製造/加工/商業的流通 2021年3月8日
5 ペンタクロロチオフェノール PCTP PCTPおよび1重量%を超えるPCTPを含有する製品/成形品 製造/加工 2021年3月8日
商業的流通 2022年1月6日

■ PIP3:1について
   ・主な用途:接着剤、封止剤、塗料、グリース、潤滑油、ゴム、塩ビ・ポリウレタン製品に
       難燃性可塑剤等として含有される
           ⇒ 幅広く使用されている物質であり、産業界へ与える影響が大きい。
   ・適用除外:「国防総省の仕様要件を満たす油圧作動油」、「潤滑油及びグリース」、
      「自動車および航空宇宙機のための新規部品及び交換部品」 などの
      加工/商業的流通
           ⇒ 適用除外に該当しても、含有情報の把握・回答は必要となる。
   ・適用開始日:当初2021年3月8日よりPIP3:1およびPIP3:1含有製品の加工、
      商業的流通が禁止されていたが、各国工業会等の働きかけもあり、
      正式に2024年10月31日と変更になった。

【補足】
  chemSHERPA   Ver.2.04より、「TSCA PIP(3:1)」用途選択画面が追加された。

参考HPまとめ

■ TSCA関連掲載サイト
   ・TSCA(米国法典HP、英語) 
         15 U.S. Code Chapter 53 - TOXIC SUBSTANCES CONTROL
   ・TSCAに関する情報(米国環境保護庁(EPA) HP、英語) 
   ・21世紀に向けた化学物質安全フランク R.ローデンバーグ法(米国環境保護庁(EPA) HP、英語) 
   ・有害物質規制法(TSCA) 第6条に基づく「難分解性、高蓄積性、毒性(PBT)」を有する5物質に対する最終規則
     (米国環境保護庁(EPA) HP、英語) 

   ・TSCAに関する問い合わせ先(米国環境保護庁(EPA) HP、英語)