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会長就任挨拶

 本日、日本電機工業会の会長を仰せつかりました、島田でございます。
 皆さまには、平素より、当工業会の活動に多大なご理解、ご支援をいただき、厚く御礼申し上げます。

 会長就任に当たり、一言ご挨拶を申し上げます。

 まず、私ども、電機業界の先頭に立たれ、国や業界が抱える様々な課題に対応し、そして発展と成長を目指して、積極的に取り組んで来られた、小笠原前会長のご尽力とご功績に心から敬意を表しますとともに、厚く御礼を申し上げます。

 皆さまご承知のとおり、世界経済は、物価高と金融引き締めによる内需縮小により、先行きに大きな不安が広がっています。いずれも予断を許さぬ状況ですが、私ども電機業界は、日々刻々と変化する世界情勢を注視し、柔軟に対応することによって、会員企業のビジネスの維持・発展に努めて参ります

 さて、2020年の世界のCO2排出量は、前年比で7%削減されました。2050年にカーボンニュートラルを達成するためには、その7%を2050年まで続けなければならないと いう現実があります。
 カーボンニュートラルを達成していくためには、 様々な取り組みが必要になりますが、特にCO2の見える化をすることが大切だと思います。 消費者の方がどれだけのCO2を使っているのか分からない状態では、消費者は製品を選択できないと思っております。CO2の見える化を行い削減することで、社会に貢献していくという形を作らなければ達成できないと思っています。

 さて、JEMAでは、政府方針として発表されました「2050年カーボンニュートラル」実現に向けて、電機業界として貢献していくため、3つの重点方針を策定し、取り組んでおります。

  • Ⅰ エネルギー・環境戦略推進による持続可能な社会の実現
  • Ⅱ 次世代技術・イノベーションによる新市場創出
  • Ⅲ グローバル市場拡大に向けた技術基盤強化と国際標準化の推進

 まず、1つめは、「エネルギー・環境戦略推進による持続可能な社会の実現」についてです。
 JEMAでは「2050年カーボンニュートラル」に向けてロードマップを策定致しました。
 JEMAは、発電設備、送電設備などの電力インフラ機器から産業用機器、家電製品などの電力需要家側の機器まで幅広い製品群を取り扱っている工業会です。この特徴を生かし「2050年カーボンニュートラル」実現という目標に向かって、積極的に取り組んで参ります。
 この実現に向けた取組みとして、例えば「再生可能エネルギーの最大限導入と低コスト化」、「火力発電の脱炭素技術の開発」、「原子力発電の再稼働・新増設リプレースのための技術・人材の継承」などの課題に、技術で応えて参ります。このような技術イノベーションを推し進めながら、現実的かつ最適な電源構成を実現するべく、意見を発信して参ります。
 また、JEMAとして、企業の取組み努力や将来性にスポットを当て、企業価値の可視化を図り、市場創出のサポートにつなげる支援が必要と考えております。その一環として、社会・経済のグリーン化に向けて、会員企業におけるグリーントランスフォーメーション(GX)への取り組み状況を把握し、対外的に訴求することを目的に、「JEMA-GXレポート」トライアル版を策定しました。2023年度は、2022年度のトライアル調査を踏まえて、会員企業によるカーボンニュートラルへの取組み状況を取りまとめた「JEMA-GXレポート」の第一版を制作・公開し、電機産業の貢献、努力を広く発信していきます。

 2つめの「次世代技術・イノベーションによる新市場創出」についてです。
 JEMAではデジタルデータの活用による新たな付加価値の創出や、製品群を横断した活動を更に推進して参ります。多様化するエネルギーサービスに対応するためのシステム規格や、SDGsの達成を目指した基盤技術等に関して、会員企業からご要望を伺い、市場ニーズに基づく新たな分野への対応を推進しています。
 例えば、需給調整市場の開始に伴うバーチャルパワープラント(VPP)の環境整備等に加え、市場のさらなる拡大に向けた、インセンティブ創出を伴う需給一体型エネルギーサービスや分散型電源システム連携の構築、データ利活用、HEMSの推進等が挙げられます。

 3つめの「グローバル市場拡大に向けた技術基盤強化と国際標準化の推進」についてです。
 JEMAは、これまで様々な製品やシステムの標準化を行い、電機業界の技術基盤強化を推進して参りました。
 IoT、AI等を活用し、省エネ・安全安心・快適さを実現するスマート家電をはじめ、分散型電源を統合する管理システムを提供するためのコア技術となる国際標準化活動を進めており、グローバル市場での導入拡大を目指しております。今後も、わが国が目指すSociety5.0の実現に向けて、電機業界として議論を深め、社会課題解決につなげるべく、積極的に取り組んで参ります。
 また、2022年5月に経済安全保障推進法が公布されたことを受け、経済安全保障の取組み強化を新たに加え、重要物資の安定的な供給の確保、基幹インフラサービスの安定的な提供の確保、先端的な重要技術の開発支援等、会員企業が直面している様々な課題を把握し、積極的に国へ働きかけてまいります。

 私ども電機業界は、これからも引き続き、さまざまな課題に取り組んでまいります。
 このような時期に、会長の大役を仰せつかり、誠に身の引き締まる思いであります。
 小笠原前会長のご指導のもとで当工業会が築いてきた多くの成果を引き継ぎ、国や電機業界の様々な分野の重要課題に対し、今後の展開を見極めながら、しっかりと対処して参りたいと思います。
 当工業会に課せられた社会的使命と役割を認識し、会員各社をはじめ、関係省庁、関連団体の皆様との連携のもと、微力ではございますが、万全を尽くして取り組んで参ります。

 皆さまには、今後とも、当工業会の活動に一層のご理解・ご支援を賜りますようお願い申し上げ、簡単ではございますが、私の会長就任のご挨拶とさせていただきます。
 どうぞよろしくお願いいたします。

2023年6月5日

一般社団法人 日本電機工業会

会長 島田 太郎