電気を語ろう!第5号

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JEMAの理科教育支援活動 電気を語ろう!第5号

理科教育支援ワーキンググループのメンバーのコラム、JEMA の理科教育支援活動をサポートしてくださる方々からのメッセージを紹介します。

「電気の面白さへの目覚め -JEMA理科教育支援活動への期待-」

JEMAの理科教育支援活動 電気を語ろう! 第5号 私は今でもモノを作ることが大好きです。メカにも興味がありますし、電気にも興味があります。また素晴らしい技術で作られた製品を見ること、もつこと、使うことも大好きです。それだけではなく、素晴しい製品がどのように作られたか、にも大いに興味があります。 これは多くの技術者、研究者が感じていることでしょう。

そんな楽しみを感じるようになったのは、何時頃からだったでしょうか? 2つの事がありました。最初はリモコンカーを自作したこと、2つ目は鉱石ラジオを自作したことです。小学校の高学年の頃です。今でもよく覚えています。どのようなものだったでしょうか?少しお話したいと思います。

まずは、自作のリモコンカーです。 小さい頃からよくプラモデルを作っていました。プラモデルにいろんな色を塗りきれいに飾る人も多いですが、私の興味は動くもの。今のように無線ではなく有線でしたが、それでも作って動かして楽しんでいたものです。

そんな中、小学校でバルサを使用した工作の授業があり、自分でも家の模型などを作って楽しんでいました。なぜそう思ったかは覚えていませんが、夏休みに、このバルサで「自分だけのリモコンカーを作ろう」と思い立ちました。ギヤ、モータ、リモコンはプラモデルで一杯あったので、バルサで筺体を作り、プラモデルをばらしてリモコンで動くオリジナルのリモコンカーを作りました。 自在に動かすために左右別々のモータをリモコンで操作すればよいと思って図面を作成。柔らかいバルサをネジで止めるのにも苦労しましたが、ボール紙で補強するなどして工作は完了。普通の自動車をマネて後輪駆動で作りましたが、真っすぐに動かすのは問題ないのですが曲がるのが今一つです。バックで動かした方がスムーズに回ります。折角カッコよくしようと思って前を小さくし流線形にしたのに、遊ぶ時はバックでしか動かしませんでした。まずは試作して評価をしてから最終版を作る。当時は動いたことが嬉しくて考え及びませんでしたが、技術開発の大事な要素、いい経験でした。

JEMAの理科教育支援活動 電気を語ろう! 第5号2つ目は鉱石ラジオです。 これは不思議でした。「電気の応用」と同じです。電気も見えませんが、電波はもっと見えません。回路は同じなのに、アンテナを少しいじるだけで、鳴ったり鳴らなかったり、声も大きくなったり小さくなったり、ホントに不思議でした。実際の回路には回路図に見えない回路がある。こう思うようになったのはずっと後からですが、これもよい経験でした。 大阪の電気街である日本橋に足を踏み入れたのもこの鉱石ラジオの作成が初めてです。 一人では行けず親について行って貰いましたが、いろんな部品が一杯。中学生の頃には一人でうろうろ、6石ラジオを作った思い出もあります。

リモコンカーはメカの楽しみ。ギヤ一つでもかみ合わせ次第で動かなくなります。きつくかみ合わせるより遊びを持たせることが必要。試行錯誤が経験となって知識となり、さらに知恵となってモノ作りの大きな力となります。

見えない電波を捉えるのに必要なのは大きな想像力。不思議がなぜだろうに変わり、真理を探求する心に繋がります。理解できた時は大きな喜び。これもまたモノ作りに必要な大きな力です。 自分で作るといろんなことが見えてくるもの、わかってくるもの。作る前には頭の中で色んな工夫を考え、作った後なぜうまくいかなかったのか、ここをこう変えてみようと試行錯誤。今から思えば立派なPDCA(Plan・Do・Check・Action)です。 当時は気付かなかったけれど、不思議が不思議を呼び、それを一つ一つ頭と体で理解していけた事が理科への興味、工学への興味につながり、今でも電気に係る仕事を行っているのだと思います。

今、JEMAが支援活動を行っている小学校6年の理科教育の単元は「電気の利用」です。ここでもいろんな不思議が小学生をまっています。真理は一つだけれど理解に至る道は一つではありません。ここで私が大事だと思っているのは子供たちにそうなんだ、だからなんだ、と気付かせること。JEMAもそう思っていると思います。そのためには、子供を導く先生自身が理科を好きになること、表面的な現象の理解だけでなく、先生自身がその理由を理解することが必要だと思っています。 なぜ細いニクロム線と太いニクロム線を直列にした場合と並列にした場合で早く熱くなるのが変わるのか。

JEMAの理科教育支援活動 電気を語ろう! 第5号電子の流れを絵にすると並列では太いニクロム線の方が電子はたくさん流れます。直列では太いニクロム線の方が電子の密度が低くなります。これを見たある先生が「太い方の流れがすかすかだから熱くならないんだ」と言われました。一つの気づきだと思います。

JEMAの理科教育支援により、一人でも多くの先生に、先生自身に「あ そうか」と気づかせること。そして理科は怖くない、面白いんだ、そんな先生をたくさん増やすことで、理科に興味をもつ子供たちが増えていくものと期待しています。

「電気の面白さへの目覚め」 一人でも多くの子供たちに理科の面白さに目覚めて欲しい、それが理科教育支援活動に携わるものとしての思いです。

一般社団法人日本電機工業会 理科教育支援ワーキンググループ 委員 西本 猛史
(シャープ株式会社 東京支社 渉外部 副参事)