電気を語ろう!第3号

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JEMAの理科教育支援活動 電気を語ろう!第3号

理科教育支援ワーキンググループのメンバーのコラム、JEMA の理科教育支援活動をサポートしてくださる方々からのメッセージを紹介します。

「最近の科学・技術関連ニュースと理科教育」

JEMAの理科教育支援活動 電気を語ろう! 第3号

昨年から今年にかけて、科学・技術関係の話題として、明るいものと暗いものと、両極端のものが交錯した。

最初に、明るい話題としては、日本人科学者の鈴木章さんと、根岸英一さんにノーベル化学賞が贈られたことだ。大変嬉しいニュースだったが、更に、彼らの次の談話に我が意を得たりと感じた。「若い人の理科離れは気がかりだ。この受賞が少しでもその傾向の歯止めになればうれしい。」これは、まさに我々の「理科教育支援」活動を力強く支持してくれるコメントだった。

また、もう1つの明るい話題は、小惑星探査機「はやぶさ」が小惑星「イトカワ」から、幾多の困難を乗り越えて地球に帰還し、更には、「イトカワ」の微粒子を持ち帰ったことだ。この話題は、科学・技術に関係している人たちのみならず、一般の主婦や子供たちも含めた多くの人々の共感と感動を呼んだ。この快挙もまた、「若い人の理科離れ阻止」に大いに貢献してくれることと思う。

一方、暗い方の話題としては、何と言っても福島第一原発の放射線漏れ事故である。未曾有の地震・津波が原因とはいえ、科学・技術の根幹を問われるような深刻な出来事である。私も1技術者として、心を痛めながら日々のニュースに接している。できるだけ早期の収束を願わずにはいられない。

そのような各種報道の中で少し気になることがある。 まず、放射能の単位として、シーベルトとかベクレル等の専門用語が出てきて戸惑うのは、ある程度止むを得ないとして、その単位の出し方が気になるのだ。 マイクロ(μ)かミリ(m)か、毎秒か毎時か毎年か総量か等、解説や説明パネルが曖昧であったり、間違えていたりする。 「新幹線が毎時200kmで走る。」は正しいが、「新幹線が200kmで走る。」はおかしい。これと同様の曖昧さや間違いを多く見かける。新幹線の場合は常識でわかるが、放射能の場合は、常識で判断できないだけに、より正確な表現での解り易い発表や報道が求められるのだが、残念ながら未だにこの問題と混乱は解決されていないようだ。

また、放射線の量が「何万倍」とか、とてつもなく大きな倍率が出て驚くが、これは「通常殆ど無い」、即ち「ほぼゼロ(0)」を分母にした値なので、いくらでも大きくなる。無限大といってもいいものである。これをセンセーショナルに報道するのはいかがなものかと思う。これらの報道の影響もあってか、「風評被害」が広がっている。日本国内はもちろん、海外までも、我々の常識からすると全く関係無い工業製品までもが被害を被っている。正しい報道と、それを正しく判断する受け手側の、最低限の知識と冷静さが求められる。

JEMAの理科教育支援活動 電気を語ろう! 第3号さて、この事故でにわかに脚光を浴びたのが「電気」である。東京・東北電力管内の電力が不足するとのことで、まずは計画停電、次には最大使用電力のカット等、産業界や家庭にとって、大変な影響を及ぼす事態が起こっている。

また、この電力不足に伴って、「節電」に関する興味がにわかに高まっている。家庭の電気製品をどのように使えばどの程度「節電」になるかを各種報道しているのだが、一般消費者から見ると、「意外」に感じる点も多いようだ。概して言えば、「熱」に関係する機器の節電効果が大きい。(冷蔵庫、エアコン、電気ポットや炊飯器の保温、温水洗浄便座の保温、白熱電球等。)

我々の理科教育支援活動の中で作成した「JEMAプログラム」は、「発電」、「蓄電」、「発熱」、「電気の変換」等の単元で構成されている。この中で、例えば「発電」の項では、火力発電、原子力発電から、水力発電、太陽光発電の話題まで教材として取り込んでいる。また、「発熱」や「電気の変換」の項では、節電につながる情報も多く入っている。まさに今最先端の話題が盛りだくさんである。

余談であるが、興味深いテレビの特集番組があったので紹介したい。我々の理科教育支援活動で使用する教材「手回し発電機」が登場したのである。説明では、「1秒間に1回の速さで回すと1Hz 、これを東日本では50回まわして50Hz、西日本では60回まわして60Hzを発電している。」と説明していた。まずは、我々が使う教材が出てきて嬉しく思うと同時に、これは直感的にはわかりやすい説明だと思った。しかし、厳密には、この手回し発電機は直流を発電するので、実際の電力会社の発電機とは違って、速く回すほど周波数が上がるのではなくて、電圧が上がる。しかし、そこまで厳密に言うのは酷であろうか。複雑な思いでこの番組を見た。

いずれにしても、これらのニュースを的確に理解・判断するには、科学的素養がある程度必要である。このような時代だからこそ、我々の理科教育支援活動が、教師や子供たち、ひいては保護者、一般市民にこのような素養を育む為に貢献することを期待すると同時に、皆様の積極的な活用をお願いしたい。

一般社団法人日本電機工業会 総合技術政策運営委員会 副委員長/理科教育支援ワーキンググループ 委員 大山 幸二
(株式会社安川電機 技術開発本部 技術管理担当)