知っておきたい 高圧進相コンデンサ設備の正しい取扱い

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進相コンデンサ及び直列リアクトルの高調波による異常音についてのお願い

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昭和63(1988)年3月24日作成
令和2(2020)年11月10日改正
一般社団法人 日本電機工業会

 進相コンデンサから異音がする、直列リアクトルから発生する音が異常に高く不安であるなどとしてお問い合わせいただくことがありますが、これらは大部分がコンデンサ回路に高調波電流が流入するためのものです。

 進相コンデンサの音は、素子の電極部分の振動、リード線やケースの電磁振動などにより発生するものであり、基本波については周波数が低く、聴感感度も低いため通常は気にならないものです。しかし、高調波についてはこの周波数が高くなり、可聴周波数領域の音が大きくなるので耳障りであり、「コンデンサは本来音の出ない機器」という先入観もあるためご不安を感じられることと思います。
 多くの場合、この音は高調波による連続的または間欠的な振動音であり、コンデンサの性能上及び寿命上は全く問題のないものです。

 直列リアクトルについては鉄心のギャップ部の磁気吸引力や磁気ひずみ振動により音を発生しており、高調波電流が流入することにより振動が増大し音圧レベル及び振動周波数が高くなり、聴感感度もよくなるため、振動騒音を一層大きく感じることとなります。
 直列リアクトルは構造上音を発生しやすいものであり、大きな高調波電流の流入があると通常過大な騒音を伴います。

 コンデンサやリアクトルの音が機器にとって悪影響があることは少ないのですが、やはり過大な高調波電流が流入した場合には悪影響を及ぼすこともありますので、コンデンサ回路に流入する電流が許容限度内(コンデンサは定格電流の130%以下、直列リアクトルは下表による)を満足するかを調べていただき、許容限度内であれば機器の性能上及び寿命上の影響は問題ないと判定することができます。

表-直列リアクトルの最大許容電流(JEM-TR182:2018 表35から引用)
許容電流種別 最大許容電流
(定格電流比)
第5調波含有率
(基本波電流比)
120 35
130 55
注記1 低圧コンデンサの場合、JIS C 4901では、主として許容電流種別Ⅱを適用するものとしている。
注記2 JIS C 4902-2:2010 表2を基に作成した。

 したがって、このような進相コンデンサ又は直列リアクトルの異常音のご不安のある場合はコンデンサ回路の電流をご調査いただき電流が許容限度内であるかをご確認ください。もしこの電流が定格電流に比して異常に大きい場合には高調波分析器などで電流波形をチェックしてみてください。

 なお、これらの測定は高調波の時間的変動がありますので音の最も大きいときに測定する必要があります。
 また、流入電流が許容限度に近い場合は機器の端子部やケースの温度上昇も確認しておくことをおすすめいたします。
 ご不明の点はメーカにご相談ください。

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